独学パン屋の開業日誌

35歳で脱サラしてパン屋を開業しました。独学でパンを勉強し、自宅を改装して初期投資を極限まで抑え パン屋を一人で経営しています。

【レシピ】機械を使わず生地から手作りするクロワッサン

特別な機械を使わない完全手作りのクロワッサンの作り方です。

クロワッサンには大きいポイントが2つあり、そこがクリアできないと作る前にあきらめてしまう人が多いです。作ったとしてもそこでつまずき失敗することが多いです。実際自分もこの2つをクリアするのに苦労しました。逆に言えばそこを抑えれば成功する可能性が大幅に上がります。 

 材料 クロワッサン7個分

  • A 強力粉 262g
  • A 水 144g
  • A 砂糖 30g
  • A 無塩発酵バター 12g
  • A ゲランドの塩 5.2g
  • A スキムミルク 4g
  • 無塩発酵バター(折込バターシート用) 131g
  • ツヤ出し用黄身 適量

バターシートの作り方

1つ目のポイントです。バターシートは既製品で色々ありますが、手作りしましょう。何故かというと自分の好きなサイズを作ることができるということと、バターシートと業務用450gのバターでは同じメーカーだとしても味が違うような気がします。中身は同じだとは思いますが、主観ですが、バターシートに加工されているものは美味しく感じません。空気に多く触れて酸化しているような味がするのです。以上の理由でバターシートは手作りした方が格段に美味しく作れます。

 

クッキングペーパーを下記のように折ります。40cmぐらいのシートを準備し、18cmの正方形に折ります。

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発酵バター(無塩)を131gにカットします

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小麦粉で打ち粉をして手のひらで少し広げます。それをクッキングペーパーの中心に置き、折りたたみます

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綿棒で伸ばし正方形の形に整えます。その後密閉できる袋ににいれて冷蔵庫で良く冷やします。

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生地のこね方

材料のAをボールに入れ5~8分程こねていきます。クロワッサンの生地は、こねすぎない方が良いです。バターを織り込んでいく工程が生地をこねることと同じ意味になります。この段階でこねすぎると生地が割れて失敗する可能性が高くなります。

自分もクロワッサンの生地はミキサーを使わず手でこねています。量も少ないので生地がミキサーで回らないのもありますが。

こねあがりましたら温度30℃湿度75%で30分発酵させます。その後タッパに入れて1日冷蔵庫で寝かせます。冷蔵庫の中でも発酵が進みますので大き目のタッパにしましょう。

 

生地とバターの折りたたみ方

2つ目のポイントです機械を使わず手で伸ばします。この方法なら誰でも作れます。

当店はリバースシート(パイローラー・パイシーラー)と呼ばれるクロワッサン生地を伸ばす機械を使いません。理由は4つあります。

  1. 機械が高い
  2. ほとんどが動力(三相200V)対応で家庭用電源で使えない
  3. 手で状態を確かめたい
  4. 手で伸ばす方が美味しくなる

まず値段が高く60~100万円ぐらいはします。小規模パン屋で何年、何個クロワッサンを売れば元がとれるのだろうか?と考えてしまいます。電源がほとんど動力(三相200V)で家庭用電源が使えないので選択肢はありません。最後が一番の理由で生地、バターの状態を常に確かめたいのです。もちろん機械でも確かめられると思いますが、自分は綿棒と手で状態を見ながら作りたいのです。機械だと均一化されて生地が折り込まれますが、手作りだと均一化されすぎずに旨味が感じられます。例えていうなら、手打ちそばを手で切るのと同じように手作りならではの美味しさが出ます。

 

合計3回伸ばし28層のクロワッサンにしていきます。生地をひし形に伸ばし中央にバターを置きます。四方を内側に折りたたみ境目を閉じます。

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打ち粉をしっかりして綿棒で縦長に伸ばしていきます。その後、三つ折りにします。手前から中央に折りたたみ、奥から中央に重ねます。

【45度回転して縦長に伸ばします。伸ばしたら三つ折りにして冷蔵庫で1時間寝かせます。】この作業(伸ばして三つ折りして冷蔵庫で寝かす)を計3回繰り返します。

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  1. バターを置いて包んだら伸ばす。
  2. 三つ折りにして伸ばす(1回目)また三つ折りにする
  3. 冷蔵庫で1時間寝かす
  4. 伸ばして(2回目)三つ折りにする
  5. 冷蔵庫で1時間寝かす
  6. 伸ばす(3回目)
  7. 最後はタッパに入れやすくするため、軽く三つ折りにする。
  8. 冷蔵庫で1時間寝かす
  9. 三つ折りを広げてカットへ

 

カット方法

打ち粉をしっかり振って40cmの長さに伸ばしていく。10×18cmの二等辺三角形の形にカットしていきます。その後、生地と生地がくっつかないようにまた打ち粉をしてタッパに入れて冷蔵庫で1日寝かします

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成型方法

三角形の底辺部分の中心にナイフで切り込みを入れ左右上下に軽く伸ばします。底辺側を始点にしてくるくる巻いていきます。月形にすると綺麗になりますので整えましょう。

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2次発酵は、温度30℃湿度75%で45分。その後、表面に刷毛で卵黄を塗っていきます。表面はとても崩れやすいので丁寧にやさしく塗りましょう。

上火230℃下火180℃のオーブンに入れて17分で焼き上がりです。オーブンの癖によって焼き上げ時間は変わりますので、しっかり状態を観察しながらベストな時間を覚えましょう。

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まとめ

クロワッサンは本格的に作ると仕込みから3日もかかるパンですが、市販で売っているクロワッサンと比べても段違いの美味しさです。そもそもバターを使わずにマーガリンで作っていたり、発酵バターと謳っていてもバターシートを使っていたりすると味に差が出てきます。

本当に美味しいクロワッサンはパン屋巡りをしていても都道府県ごとに1~2店舗あるかないかというほど奥が深く難しいものですが、良い材料で手間をかけて作れば美味しいいクロワッサンができるので是非手作りしてみてください。