売切れ次第終了のパン屋のメリット・デメリットとは
当店は売切れ次第終了のパン屋です。しかも自分一人で開店時間までにパンを全て焼き上げて、それ以降は自分が接客に入るので追加でパンを焼かないスタイルです。色々試行錯誤してこの営業形態を選びましたが、結果的にはこの経営方法で正解だったと思います。しかし、この経営方法は諸刃の剣で、しっかり手綱を引かないと痛い目にあう面も多分にあります。
売切れ次第終了のメリット
- ロス(売れ残り)を減らせる
- 予約注文につながりロスがなくなるので利益が出やすい
- 材料の質を上げられる
メリットの3点は上から全部つながっています。
当日販売できる数を作る ⇒ ロスが減る ⇒ 売り切れてしまうので予約が増えて更にロスが少なく販売できる ⇒ ロスが減るので更に良い材料を使える事により美味しいパンを作れる ⇒ お客様の評価が上がり客足が伸びる というように「負の連鎖」の逆の「良の連鎖」が生まれるのです。
当店は一人で自宅経営のパン屋なので、はじめから人件費、賃料がかかっていません。その分、良い材料を使っています。逆にロス(売れ残り)が出ると、材料費がかかっているのに廃棄になるため、それは経費としてマイナスになってしまいます。ロスをどれだけ少なくできるかによって、利益が増えたり、良い材料を使えるようになります。
「良の連鎖」が進めば進むほどロス費用が下がり、パンの材料費が上げられるのです。
売切れ次第終了のデメリット
- 夕方以降の来客が極端に減ってしまう
- 天候など製造数を読み間違えると早めに売切れてしまう(売り逃し)
- 当日の大量注文は対応できない、大量注文は予約のみになる
売切れ次第終了を続けていくとお客様も夕方にはパンが少なくなる事もわかってきます。そうすると極端に夕方以降の来客が減ってしまいます。全体的に早めにお客様が集中するのです。
従業員を増やしてパンを夕方まで作る対応策もありますが、自分はそれをやりません。人件費をかけて材料費を圧迫するより、人件費もかけず、ロスも減らして、多少ご迷惑をおかけしたとしても美味しいパンを提供したいのです。夕方でもご希望の商品を購入できるように予約を上手く促していくことが精一杯の対策になるかと思います。
早朝4時からパンを焼いていると突然天候が変化する場合があります。天気予報が雨だったので(雨は来客が減ります)少なめに作っていたら、開店時に晴れて予想以上に来客が増えてしまい早めに売切れてしまう事もあります。
なので ウェザーリポート Ch. - ウェザーニュース・日本気象協会 tenki.jp【公式】 / 天気・地震・台風などを参考にして製造数を加減しています。このサイトは1時間毎の詳しい予報を出しているのでとても参考になります。雨以外にも風等も影響するので日々の天気と売上の履歴を残していく事をオススメします。
当日急遽、予想外の大量注文されるとどうしても対応できません。大量注文の場合は前日までに予約していただくようお願いしています。こちらの都合で申し訳ないのですが、予約だとお客様のご希望通りに準備できますし、ロスが発生しないので利益的には良くなります。
まとめ
売切れ次第終了を決断するにはその店のスタイルによってデメリットが大きい場合があります。駅前で大勢のお客様が来店される店でしたら、家賃・従業員も費用が高くなり売切れたら終わりと言うわけにはいきません。閉店5分前までパンがぎっしり残っていなければイメージが悪いとも考えるお店もあるかもしれません。
自分はその費用もイメージも捨て、ただ美味しいパンを提供することを第一に考えました。それが今の一人で一軒家で経営する形になったのです。人それぞれ条件は違いますので、状態にあった経営方法を模索しましょう。