自宅でパン屋を開業するための保健所対応設備 その3
自宅でパン屋を開業するための保健所対応設備 その2の続きです。前回から引き続き保健所の許可が下りる設備対策を話していきます。※都道府県によって基準は変わってきますが、この基本を抑えていれば大丈夫だと思います。
当店は2世帯住宅だった建物の1階部分を店舗に使用しています。キッチン・トイレは1階と2階が別です。
9.天井・壁・床の素材
「天井」は清潔に保てるのが前提条件で、ホコリ等が付いてもすぐに掃除して落下しないようにすること。当店は手直しせずそのまま使用しています。
壁はステンレスで覆い、床は水で洗えるコンクリート素材で排水機能が必要…?!
上記はネットで店舗の設備をどうすればいいのかを調べたときの情報です。愕然としました。こんな大掛かりな工事いくらかかるんだ?!ここまで改装してしまったら、もし廃業した後に人が住める状態に元に戻すのにいくらかかるんだ?! と。
そこで地元の保健所に問合せしたところ・・・
要は掃除がしやすく清潔に保つことが出来る素材であればそこまでしなくていいということでした。
「壁」のシステムキッチン周りは不燃材の材料が使われているので既存のままでOK。当店は普通の住宅なので作業場周りの壁は、不燃材の石膏ボードの上に不燃性の壁紙を貼っています。汚れが落ちやすい素材だったので、これも既存のままでOKでした。
窓にはカーテンが付いていましたが、可燃性なのですべて撤去しました。それからオーブン周りはステンレスフードでカバーしました。
「床」はフローリングでしたが木材のため、このままでは水分をこぼしたときに浸透して腐りの原因になるのが問題だと考えていました。
そこで作業場全面にビニール製クッションフロアを敷きました。防水性なので水分で腐ることもなく、拭き掃除で簡単に清潔に保てます。パンを作るだけなので、床を水で流して掃除する必要もないことも許可が下りる際に考慮されたのかと思います。
クッションフロアは自分と嫁でまず部屋の形に合わせてハサミでカットし、3日ぐらいかけて施工しました。
人件費は0円です。
10.作業場を明るくする
売場と作業場は100ルクス以上の明るさにしなければなりません。しかし実際の保健所の検査では特別な機械で明るさを測ることはしませんでした。目視で十分明るく作業するのに問題なければいいのです。当店は明るかったので特に指摘はありませんでした。
作業場はワット数が低いオレンジ色が特徴の電球色の電球だと薄暗くなるので、ワット数が高い昼光色の電球を選びましょう。暗いと作業しづらくなりますし、異物混入の危険性もあるので明るい作業場がいいと思います。
売場にはシャンデリアを設置しました。あまり広くない売場なので明るさは十分でした。
11.防虫対策
害虫の侵入を防ぐために、窓にはすべて網戸を設置しなければなりません。8.換気扇でも話しましたが換気扇にシャッターも必要です。下水道からネズミ、ゴキブリが侵入しないように排水溝に網を設置する。当店は一般的な住宅同様で網戸や排水溝の網は設置されていましたので既存のもので大丈夫でした。
12.従業員の休憩・更衣室の設置
店舗には、着替えるための更衣室のスペースを設けなければなりません。かつ作業場と更衣室がしっかり区分していなければなりません。衛生的に保つために分ける必要があります。
当店は2階が居住スペースなので、そこを更衣室に使えばいいじゃないか?と思いましたが、それはNGです。あくまでも店舗内に更衣室を設けなければいけません。1階の店舗内で作業場の隣に部屋があるので更衣室としました。
13.材料を置くスペースの確保
これは衛生問題や防虫対策にも繋がりますが、食料庫を設けなけばなりません。当初は作業場内に扉がない棚を設置し、そこに材料を置きたいと考えていました。
しかし保健所に相談した際に扉のある食料庫が必要と言われましたので、仕方なく扉のあるクローゼット内を食料庫にしました。サイズは小さめですが、しっかり区分されているのでこれで許可が出ました。
まとめ
3記事、13項目にわたり保健所が何を求めているか、それにどう対応すれば最短で開業できるかをお伝えしてきました。
文頭でも話しましたが、地方自治体で細かい指摘はかわってきます。しかし基本を押さえておけば、細かい場所の手直しは自分でどうにかなるものです。
大体の設置場所を決めて計画を立てたら、必ず施工前に保健所へ相談して、よく確認してから施工を行いましょう。そして費用を最小限に抑えつつ保健所から許可が出る店舗作りをしていきましょう。